最近はこういう写真をつくっていて、
なぜこれをつくっているのかを時々うんつら考える。

これは震災以降の気持ちで。
僕は「慣れ」が怖い、と思っていて。

つらい状況に慣れていく、というのは、
人間に備わった防衛本能のようなもので、
誰しも経験のあることに例えれば、大きな失恋をしたときとか、大切な人を失ったときとか、
やがてそのつらい状況に慣れていく。
時間が解決してくれるよ、ってのはそういうこと。
「慣れ」は人間にとって欠かせない、生きていくためにはとても重要な機能で、
慣れることを止めるのはむしろとても難しい。

でもそれが時として、悪い方向へ機能することもあって、
震災のあとにそれを強く思ったのは、
自分やみんなが、今もまだ確かにあるはずの「つらい状況」に慣れてしまって、
平気で暮らしてしまっているということ。

当たり前の暮らし、は、自分では到底立ち向かえないような大きい力で、
時々たやすく壊れてしまう。
けれども時間がたてば、慣れてしまって、そのままあたらしい「当たり前」になってしまう、
のが、そういう自分が、すごくくやしくて。

でも、ネガティブなことをネガティブなままに作品にするのは僕はどうもイヤで。
それでうさぎ。

例えば、もし、この2012年12月に、突然日本中のうさぎが、
自分たちよりも少し大きな体になって、街の角にふつうに居たら、
僕らは大騒ぎでしょう。
でもきっと、2013年の12月には、
「まあ、去年からうさぎって、でかいしね」
とか当たり前なこととして受け入れてしまってるんじゃないか、と思うと、
怖い。
「放射性物質、まあ、飛んでるよね」
と思っている自分を否定しきることは、正直ちょっとむずかしい。
くやしい。怖い。

そういうことを考える。年末。

もうちょっと考える。
ほんとに僕はこういうのつくるの、進みが遅くて、やんなるけど、
でもいいがんばる。
出来上がったときには手遅れになってたら笑ってくれればいいよね。
ちょっとずつ。




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